2013年10月29日火曜日

糖尿病の治療⑦(薬物療法④)

今回は、ブドウ糖吸収阻害薬についてお話していきたいと思います。


ブドウ糖吸収阻害薬であるアルファ・グルコシダーゼ阻害薬 (αGI薬) は、

食物性糖質の1000倍も親和性の強い糖質類似物質です。

糖質が吸収されるためには、澱粉のような多糖類から消化酵素の作用を得て、

二糖類(麦芽糖や蔗糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解される必要があります。

その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、

血糖の上昇をおさえるので、食後過血糖改善薬とも言われています。


一般名
商品名
血中半減期
hr
作用時間
hr
一日使用量
mg
アカルボース
グルコバイ®
23
150300
ボグリボース
ベイスン®
23
0.60.9
ミグリトール
セイブル®
13
150225


これらの薬物は血糖値の食後のピークを減少させ、

食事とともに摂取すると有効であるが、

食事以外の高血糖の治療には有効ではありません。

鼓腸、膨満感、腹部不快感、下痢などの副作用がよく報告されています。

これらの原因は、消化されずに腸管にのこった糖類が醗酵し、

発生するガスによるものです。

αGIの継続的な使用によって、これらの副作用は軽減していく傾向があります。

しかし、炎症性腸疾患の患者では禁忌になります。

腸閉塞様症状に至る場合もあり、

糖尿病性神経障害で消化管蠕動障害がある場合は留意しなければなりません。

体質的に肝障害を来す例があるので、

肝トランスアミナーゼの定期的な観察を行う必要があります。

肝障害は薬物の中止とともに可逆的に改善し、αGIに体重増加作用はないため、

食事療法の妨げになりません。

少量から開始し、体を慣らしていくことで、

消化器症状によるQOL低下を防止できます。

αGI薬の使用中に低血糖が発現したときは、

澱粉や蔗糖では血糖上昇に時間が掛かるので、

ブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖

低血糖の処置に用います。


 次回は、インスリン抵抗性改善薬について解説します。



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