2013年10月15日火曜日

糖尿病の治療③(運動療法)

今回は、糖尿病治療における運動療法についてお話していきます。


運動療法では、医師の指導に従って、

自分に適した運動メニューを作り実行することが重要です。

いきなり激しい運動をするのは避け、徐々に運動を習慣づけるようにしましょう。


運動療法には以下のような効果があります。

運動の急性効果として、ブドウ糖、脂肪酸の利用が促進され血糖が低下します。

運動の慢性効果として、筋への糖取り込み率を高め、インスリン抵抗性が改善します。

エネルギー摂取量と消費量のバランスが改善され、減量効果があります。

加齢や運動不足による筋萎縮や骨粗鬆症の予防に有効です。

高血圧や脂質異常症の改善にも有効です。


有酸素運動レジスタンス(抵抗)運動がインスリン抵抗性の改善に有効とされています。

前者としてはジョギング水泳、後者としては水中歩行が挙げられます。

治療効果が見込める運動量としては、歩行として1回15分以上を一日二回

1週間に3日以上が望ましいとされています。

消費エネルギーとしては200Kcal程度であり、運動による減量はほとんど期待できません。

減量は食事療法によって行い、

運動療法はあくまでもインスリン抵抗性を改善させる目的で行うことに注意しましょう。

即ち、糖尿病治療中で運動をした分食事を増やすというのは、全く治療になっていません。


糖尿病における運動療法で気をつけるべき点としては低血糖発作であります。

特にSU薬を用いていると空腹時低血糖を起こしやすいので、

食前の運動を避けるといった工夫が必要な場合もあります。

また、糖尿病慢性期合併症が生じてしまったら

運動療法は行わない方が良いと言われています。

網膜症があれば、低血糖をおこし交感神経が反応し

高血圧になると網膜剥離を起こすこともあります。

腎症があれば、運動でタンパク尿は増えて、腎臓をさらに障害します。

神経症があれば運動は怪我のリスクとなります。

医師の指導に従い、食事療法運動療法を上手に組み合わせることが、

血糖値コントロールの第一歩になります。


次回は、薬物療法について解説していきます。



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