今回は、インスリン療法のその他の療法についてお話していきたいと思います。
基礎インスリン分泌が保たれているような患者では、
速効型(または超速効型)インスリンの毎食前3回注射など
強化インスリン療法に準じた注射方法があります。
また、頻回のインスリン注射が困難な患者や強化インスリン療法が適応とならない患者では、
混合型または中間型の一日1回~2回投与という方法もあります。
具体的には、Nを朝食前に1回打ちにしたり、
混合型製剤を朝食前、夕食前の2回打ちにし、
食後血糖を抑えるためαグルコシターゼ阻害薬を併用したりするなどが
オーソドックスと言われています。
病棟などでは、インスリンスライディングスケールという方法をとることがあります。
これは各食前の血糖値に基づいてその時にうつインスリンを決定するという方法で、
短期間ならば良いが血糖の変動を激しくするので、
できることなら避けたほうが良いでしょう。
このような投与法でもインスリン量は0.2単位/kgにて開始し、
0.5単位/kgまで増量可能です。
中間型を2回打ちする場合は朝:夕を2:1または3:2の比率とすることが多く、
中間型インスリンが一日10単位以上の場合は一日2回と分けることが多いようです。
食事をしないIVHの患者では、高カロリー輸液にRを混ぜることもあります。
この場合はグルコース10gにつきR1単位から始めて
血糖を測定から至適量を決めていきます。
注意として、速効型インスリン以外の静注は禁止になります。
インスリン療法の注意点として、
インスリン療法の絶対的適応例では入院による導入が望ましいと言われていますが、
相対的適応例におけるインスリン療法の開始や、
経口血糖降下薬からの切り替えの場合は、外来で行うことが多いようです。
外来での導入に関しての危険性を評価するには、
・ケトーシスがないこと
・感染症や悪性腫瘍といった高血糖の原因となる他の疾患が存在しないこと
・網膜症(特に福田分類でBとなるもの)、腎機能低下といった進行した糖尿病慢性合併症が存在しないこと
・食事療法、インスリン注射、血糖自己測定といった自己管理能力があること
を確認することが望ましいです。
これらに該当するようならば、糖尿病専門医がいる施設や教育入院を用いないと、
外来でのコントロールは非常に危険です。
この際、インスリン量の調節のため外来を頻回にすることで対処することが多いようです。
次回は、糖尿病治療薬の治験について解説していきたいと思います。
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