2013年11月11日月曜日

糖尿病の治療⑪(インスリン療法①)

今回は、インスリン療法についてお話していきたいと思います。


まずは、インスリン療法の適応について説明します。

インスリン療法の適応は以下の通りです。


<インスリン療法の絶対的適応> 



・インスリン依存状態であるとき

・糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、乳酸アシドーシス)であるとき

・重症の肝障害、腎障害を合併する時

・重症感染症、外傷、中等度以上の外科手術(全身麻酔施行例など)のとき

・糖尿病合併妊娠(妊娠糖尿病で食事療法だけでは良好な血糖コントロールが得られない場合も含む)

・中心静脈栄養時の血糖コントロール


<インスリン療法の相対的適応>


・インスリン非依存状態の例でも著明な高血糖(例えば、空腹時血糖値250mg/dl以上、随時血糖値350mg/dl以上)を認める場合

・経口薬療法では良好な血糖コントロールが得られない場合(スルホニルウレア剤の一次無効、二次無効など)

・やせ型で栄養状態が低下している場合

・ブドウ糖毒性を積極的に解除する場合


インスリンの適応から外れた場合は、

軽症か重症かによって治療方法が若干異なります。

インスリン療法としては、強化インスリン療法とその他の治療法に分けられます。

まずはインスリンの適応があるかどうかを判断します。

インスリンの適応があると判断したら、

患者の状態を把握し、インスリン強化療法を行うのか、

それともその他の治療法を行うのかを判断します。

インスリン療法の基本は、

健常者にみられる血中インスリンの変動パターンを

インスリン注射によって模倣することです。

健常者のインスリン分泌は、基礎インスリン分泌と、

食事後のブドウ糖やアミノ酸刺激による追加インスリン分泌からなっています。

これをもっともよく再現できるのは強化インスリン療法ですが、

手技が煩雑であるのがネックになります。

今後の糖尿病管理も強化インスリン療法を行うのであれば、

患者教育なども行い導入する価値はありますが、

手術や処置で一時的に経口血糖降下薬を用いられないという場合、

生活スタイルから強化インスリン療法を行うのが不可能な場合は、

その他の療法が選択されます。


次回は、今回の続きで、より詳しく解説していきたいと思います。



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